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    • 2011.09.24 Saturday
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    厳罰化、大合唱を憂える

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      ★…少し前、東京で、「飯塚事件」の再審請求弁護団の徳田靖之弁護士の話を聞く機会がありました。飯塚事件とは、92年に福岡県飯塚市で起きた小女子2人の殺害事件で、犯人とされた久間さんは、一貫して無実を訴えたものの、有罪・死刑判決が確定。0810月、確定後わずか2年で刑が執行されました。

       確定判決は、足利事件と同じ警察庁科警研のDNA型鑑定を主な証拠としたもので、足利事件再審請求でDNA型鑑定の誤りが明らかになったその時期に死刑が執行されました。「再審請求準備を進めていた久間さんの《口封じ》ともいうべき暴挙」です。1年後の昨年10月、「犯人と久間さんのDNAは不一致」とする鑑定を新証拠として、遺族が福岡地裁に再審請求を行っています。

       

      ★…26日、内閣府が発表した「基本的法制度に関する世論調査」によれば、死刑制度の存続は「やむを得ない」との回答が85.6%に上り、94年の調査開始以来、過去最高になったとあります。

       死刑容認の理由(複数回答)では、「死刑を廃止すれば、被害者や家族の気持ちがおさまらない」が54.1%で、最多。以下、「凶悪犯罪は命を持って償うべきだ」(53.2%)「死刑を廃止すれば凶悪犯罪が増える」(51.5%)と続きます。死刑廃止論の理由(複数回答)は、「生かして罪の償いをさせたほうがいい」55.9%、冤罪なら、「取り返しがつかない」が、43.2%となっています。

       

      ★…ところで、内閣府のホームページで、直接この調査結果を見たところ、設問は単純に、「死刑制度は賛成か、反対か」と問うのではなく、実際には、「どんな場合でも死刑は廃止すべきである」「場合によっては死刑もやむを得ない」(下線筆者)のどちらかを選択するようになっていました。

      この設問では、「どんな場合でも」と聞かれれば、ウーンと躊躇してしまいそうだし、一方の「場合によっては」と聞かれれば、そうだなと共感しやすいイメージがあり、《先入観を持たせたり、誘導的な設問をしてはいけない》という統計調査の基本的なところで、問題のある調査だな、と感じました。これでは、死刑制度を存続させたいという法務省の意向が反映された調査との批判も当然でしょう。

       

      ★…もう一つ、こちらは小さな取扱いでしたが、114日付の警察庁のまとめによると、09年に全国で発生した殺人事件は1,097件で戦後最少、最高だった54年の3,081件に比べて、約3分の1に減少しています。刑法犯全体は、1703222件と6.3%減り、7年連続の現象となっています。このデータを見るかぎり、死刑制度存続の理由に挙げられている「凶悪犯罪の増加」は、根拠がなく、マスコミが殺人事件をセンセーショナルに取り上げることによる「刷り込み」であることがよく分かります。

       

      ★…もう一つ驚くべき数字を挙げます。アメリカの「イノセンス・プロジェクト」は、有罪判決を受けた被告人をDNA再鑑定によって救済する非営利機構で、それにより、08年までに237人が再審で 無罪罪判決を受けたといいます。さらには、死刑判決を受けた後、無罪が明らかになった事件は17件あるといわれています。

       

      ★…さらに、冒頭の内閣府の世論調査では、公訴時効についても聞いていますが、04年の刑訴法改正で、殺人などの時効は15年から25年に延長されましたが、これについて、54.9%の人が《短すぎる》とし、このうちの49.3%が時効の廃止を求めています。

      時効の廃止について、日弁連の公訴時効検討ワーキンググループ座長の岩村智文弁護士は、「朝日」(220日付)で、次のように述べています。

       「時効は、無罪の人が事件の犯人とされ、冤罪事件が起きないようにするために、刑事手続きを時間的に区切る制度です。それがなくなると、被告が自らを守る『防御権』が侵害されます。例えば、被告がアリバイの主張をしたいと思っても、事件から40年、50年たってから起訴されて、アリバイを証言してくれる人を見つけられると思いますか」「真犯人を捕まえて事件の真相を解明することに価値がないというつもりはありません。しかし一方で、時効がなくなると、冤罪に巻き込まれるリスクも高まるのです」「未解決の捜査本部事件だけでも、証拠品を保管し続けると100年で東京ドーム半分の量になるという試算もあり、警察庁刑事局長は、『膨大な証拠資料の保管をいつまで続けるのか・・・明確な基準が欲しい』と発言しています」

       

      ★…死刑を含めて、世論は、厳罰化の傾向を強めています。この厳罰化については、法務省、の意向に、マスコミも歩調を合わせているように私には見えます。しかし、少なくとも、事件をセンセーショナルに報じるだけでなく、ここに挙げたような問題もぜひ、マスコミには取り上げてもらいたいものだと思います。

      死刑制度の存続は、犯罪防止に役立つという根拠はありません。また、上述しましたように、無実の者を国家が殺人を犯すという危険性はなくなりません。死刑制度存置派は、この点についてはどう考えるのでしょうか。必要悪というのでしょうか。

       そして、死刑制度の存続は、本当の意味で被害者・遺族に寄り添うことになるのでしょうか。国による被害者への生活支援など、もっと他にやるべきことがあると思うのですが。

       


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